帰り道。
うららかな午後に、ぶらりと、散歩に出た。
休日ってやつが、エックスメンにあるとしたら、それは事件が無いときだ。
悪いことってのは、立て続けに起こることが多い。あれもこれも、と連鎖する。
ずれた歯車ってやつは、どうにも性質が悪くて、一度そうなってしまうと、なかなかどうして、元にもどらないもんだ。俺たちは、それを何とか元通りにして、正常に動くようにしなきゃならない。それが終わるまで、一週間だろうが、一ヶ月だろうが、休みは無しだ。
だが、一旦それが終わってしまうと、いたって平和な日々が続く。悪いことが続けば、良いことも続くっていうのは、世の中上手くできてると思う。
日差しが暖かい。そよふく風が鼻をくすぐる。
青葉が香る季節に、日差しに守られながら、歩く道。
明るい道だ。
それは、俺が最近まで知らなかったもので―――。
知ったことで、自分が変わったとは、思わない。
ただ、世界が変わった。風が運ぶ臭いさえも、変わったんだ。
どことなく鼻についた新緑のそれが、今は心地よい。
刺すようだった日差しが、包むように優しい。
そして、目の前に広がる道は、"家゛へと続いている。
細く長く、歩く道に影が伸びる。だが、それはもう俺を追いかけない。
行く手が赤く染まっても、もう血の色には見えない。
遠くでカラスが鳴いていた。そろそろ、夕飯の時間だ。
良いことが続いた後には、何が待ってるかなんて、知ってる。
だが、今は、いいさ。
今は、"家"に帰ろう。
この道を、歩いて行きさえすれば、いいのだから。
fin.
帰る場所があって、そこに向かう道だから、
ただの道に「帰り道」って名前がつくのかしら…と思ってみたり。
ローガンのというか、エックスメンの心と体が帰る場所っていうのは、
いつでも教授と、Xマンションなんでしょうね。
(2003.12.2脱稿)